今年の国体は障害を持つ方へのレギュレーションに配慮!

毎年恒例の国民体育大会の本年の開催地は三重県。一昨年の茨城開催に続き、この三重大会でも文化プログラムとしてeスポーツの大会が盛り込まれています。
eスポーツは、性別・年齢・体格そして、障害の有無に関係なく同じ土俵で競える場。
eスポーツ大会の参加条件にあるレギュレーションをみると、「公式コントローラを利用すること」が、条件になっていることが少なくありません。国民体育大会でも同様な条件が掲げられています。これでは、手に不自由があり、一般の方が利用するコントローラが使えなく、自分なりな工夫でゲームを楽しんでいるプレイヤーの参加を阻む要因となってしまいます。
そこで、全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2021 MIEの種目の一つ、セガのぷよぷよeスポーツでは、よい多くの方の参加を期待したいと、レギュレーションの検討を行いました。それは、身体障害のある方へという一文の追加で、公式コントローラが利用できなくて、すでに自分なりな工夫でゲームができるかたは参加にあたり事務局へ問い合わせしてほしいというもの。多くのかたが公平に参加できるようになるための大きな一歩だったと思います。レギュレーション作成には、私達ユニーズも微力ながら協力させてもらいました。

名乗りをあげるツワモノが登場

北海道医療センターに入院中の”よっしー”さん(49歳 デュシェンヌ型筋ジストロフィー)。この機会を逃すまいと公募が開始されて、すぐにエントリーを決意。それから2ヶ月ほどの猛特訓が始まりました。もともと、20歳の頃はぷよぷよに慣れ親しんできた”よっしー”さん。久々のプレイで、感覚が戻るまでは一苦労があったとのこと。それもそのはず、当時使っていたコントローラは、病気の進行でわずかな手の力しかないために使えないため、どうしたらコントローラが使えないハンデを道具の工夫で改善できるか試行錯誤が必要だったからです。

スイッチ4つを操作

ぷよぷよeスポーツの操作は、ぷよの移動の左右ボタン・ぷよの回転、高速落下で、最低でも4つのボタンが必要です。
’よっしー’さんの身体中でどこが動くのかを一緒に探す作業から始まりました。両手で動くのは親指のみ。それも発揮できる力は10グラム以下で、5ミリ程度。あとは、口もとの動きのみ。ここからが試行錯誤です。
まずは、素早い操作が必要な、左右のぷよ移動のために、操作感覚がわかりやすい、左手で左移動、右手で右移動で考えました。
利用したスイッチは、右手が、PPSスイッチで、左手が、マイクロスイッチをクーラントノズルで手に合わせるようにした固定具を使いました。どれも、10グラム以下の弱い力でも操作できるスイッチです。
高速落下と、ぷよの回転は、口をすぼめる動きと、頬を舌で押し付けて突出させる動きを利用します。利用したスイッチは、ポイントタッチスイッチ。一見しただけでは、どうやって操作しているかわからないほどの僅かな動きを組み合わせて匠に操作を可能にしました。この動きを動画がお見せできないのは残念です。
そして、このスイッチで操作するのに欠かせないコントローラにつなぐ装置が、昨年11月にHORIから販売されたFlex Controller。任天堂ライセンス製品でスイッチをつないで操作できるコントローラです。今回’よっしー’さんが参加できた大きな要因の一つもこの製品があったからだそうです。「操作の練習には時間がかかると思うけど、これでようやっと、操作だけは同じ土俵だと思う。あとは、練習のみ」と、動画で研究したり、大会予選までひたすら練習を重ねていました。「そんなに甘くないと思う。でも、何もしないで負けなくない。」と語っていました。

いよいよ大会当日!

2021年7月4日 午後1時15分。予選第1回。5戦先取で勝利の条件で試合スタート。’よっしー’さんも連鎖を重ねるが、対戦相手がそれを上回る連鎖で、みるみるおじゃまぷよが押し寄せ、結果はストレート負け。「練習がただ足りなかった。」悔しい顔を覗かせるも、
「これまで、自分のような障害者はこのような機会はなかった。今回、レギュレーションに配慮があり、この機会を無駄にしたくないと思い参加した。」「利用しないと、必要ないものと思われるのはもったいなし、今後の人のためにもなるかなと思った。」「次の機会があったら、また参加したい」とコメントを残してくれました。
今後も、自由に多くの方が参加できるように、私達ユニーズもサポートしていきたいと思います。